人類規模の交易

 個人や集団の間で、物品やサービス、金銭などの様々な価値を交換する営みを交易というのなら、「広場で大道芸人がパフォーマンスを披露し、それを鑑賞した人々が思い思いに投げ銭する。」というのも、個人と不特定多数の人々の間で行われる交易の一種です。この交易には特定の管理者や、明文化されたルールは存在せず、強いて言うなら自然法的な不文律に則って、自由意思で行われる価値交換です。

 そして、この交易をデジタル化することで規模を拡張し、人類規模で行おうというのが、Jibangoの構想です。

 まずは広場をSNSに拡張し、大道芸人をクリエイター、アーティスト、アスリート…等に拡張し、人々を人類に拡張し、最後に投げ銭をBitcoinで行えば完成です。

 これにより「SNS上で、クリエイターが動画などのコンテンツを配信し、それを視聴した世界中の人々が、感動の大きさに応じてBitcoin を投げ銭する」ことが可能になるのです。

 クリエイター等の才能に恵まれた個人に限らず、名もなき個人がSNS上に一次情報やフリーコメントを投稿し、それを読んだ不特定多数の人々の中から、心を動かされた人が投げ銭するという交易が、人類規模で行えるようになります。


 

原則

 個人が「特定の人」に向けて仕事をした場合、その「特定の人」から支払いを受けるのが正当です。では個人が「不特定多数の人々」に向けて仕事をした場合、誰から支払いを受けるのが正当でしょうか。答えはもちろん「不特定多数の人々」です。もし仮に「特定の人」から支払いを受けたら、「特定の人」と、残りの「不特定多数の人々」の間に差が生まれ、どちらかが不当な扱いを受けたことになります。全員が不特定であることが本質的に重要なのです。「個人が不特定多数の人々に向けて仕事をした場合、不特定多数の人々から支払いを受ける」というのが原則です。

 ちなみに「不特定多数の人々」の最大のものは「人類」です。まずは個人が人類に向けて仕事をした場合について考察したいと思います。個人が人類に向けて仕事をする例として、数学者の仕事があります。数学者が未解決の大問題を解決した場合、それは人類の知的財産となり、数学者は人類から支払いを受けるのが正当でしょう。数学はあらゆる科学の基礎であり、潜在的に全ての人がその恩恵を受けるからです。

 ところが、これまで数学者が人類から正当な支払いを受けることはありませんでした。理由は2つあります。1つ目は人類規模で使える通貨が存在しなかったこと。2つ目は人類規模で支払者を不特定化できる手段が無かったことです。

 1つ目の問題はBitcoinの登場によってクリアされました。2つ目は、当サイトが発行するJibangoIDでクリアできます。JibangoIDは人類全員が取得できるシリアル番号で、個人を特定できない識別子です。そしてBitcoinとJibangoIDを連結させたのがJibangoWalletです。JibangoWalletが世界中で実装されれば、数学者の仕事が人類から正当な支払いを受けることができるようになります。

お金を供給する2つの方法


 まず、様々な形をした複数の容器に水を供給して、全ての容器の水位を等しくする方法を考察します。なお、ここでは全ての容器が等しくなる水位を「適正レベル」と呼ぶことにします。

 一つの方法は、各容器の容量を予め計算して、個別に必要量の水を供給して、適正レベルにする方法です。中央にデータと水を集め、計算結果に応じて水を放射状に供給する形なので、ハブ型(中央管理型)と呼ぶことにします。コンピューター用語ではクライアントサーバー(C/S)型です。

 もう一つの方法は、全ての容器の底をパイプで連結してネットワークを構築し、ネットワークのどこからでも誰でもが自由に水を供給することで、自動的に適正レベルが達成される方法です。ネットワーク型(分散管理型)と呼ぶことにします。コンピューター用語ではピアツーピア(P2P)型です。

 原理は違いますが、いずれの方法でも適正レベルが達成されることがイメージできると思います。

 ここで、水をお金に置き換えてみましょう。この場合、容器は個人の銀行口座や財布に相当します。また、水位という可視的な指標に由来する「適正レベル」という言葉も、不可視的な「最適解」という言葉に言い換えましょう。

 水と違って、お金には預金と現金の2種類があります。預金はハブ型(C/S型)のお金で、銀行のサーバー上の電子的記録であり、数字の書き換えにより、お金が移動します。預金の特徴は、情報が個人(クライアント)と銀行(サーバー)の2か所で共有されており、個人が特定されることです。 一方、現金はネットワーク型(P2P型)のお金で、不特定多数の人々の間を手渡しで移動するお金です。現金は、全ての情報が個人(ピア)の1箇所に限定されており、個人が特定されない「不特定多数の人々」のお金です。 預金と現金は、それぞれに適した原理の下で供給されないと、最適解に到達しないでしょう。

 さて、冒頭の交易の例で「広場で大道芸人がパフォーマンスを披露し、それを鑑賞した人々が思い思いに投げ銭する」における投げ銭は現金です。また「個人が不特定多数の人々に向けて仕事をした場合、不特定多数の人々から支払いを受ける」という原則からも、ここでは現金が使われる必要があります。 すなわち、Jibango の構想する、人類規模に拡張した交易において、使われるお金はデジタルキャッシュ(現金)たるBitcoinであることが必然なのです。

名前付きの財布であるJibangoWallet

 Bitcoinを入手する第1歩は、Bitcoinの口座を開設することです。簡単です。Bitaddress.orgにアクセスするだけです。すると、マウスに触れるだけで、いきなり数字が動き出して焦りますが、大丈夫です。単にあなたの口座を生成しているだけです。しばらくすると、画面の左側にBitcoin Address(口座番号)と、右側にPrivate Key(暗証番号)が表示されます。その画面をプリントアウトすれば、いわゆるペーパーウォレットの完成です。これで、あなたは世界で唯一のあなただけのBitcoinの口座(財布)を手に入れたことになります。ただし、この段階では財布(口座)の中身は空です。あとはそこにBitcoinを入れるのですが、その前にもう一つ重要なことがあります。それは財布の所有者が誰であるかを明記するということです。

 アナログの現実世界では、財布に名前が書いてなくても、実際に手に持っている人が所有者であることは明白ですが、デジタルの仮想空間では電子的記録として、財布に名前を明記しておかなければ所有者が特定できません。ところが、その名前が実名だと、同姓同名があるため、財布の所有者が一意に決まりません。そこで一意性が確保されている識別子が必要となります。その代表がJibangoIDです。財布にJibangoIDが記してあれば、80億人の内の誰のものであるか一意に決まります。 そして、JibangoIDを記したお財布(wallet)こそが、JibangoWalletというわけです。

JibangoID

JibangoIDはJibangoが発行する、シリアル番号を時刻「年月日時分秒」に変換した個人識別番号です。JibangoIDはインターネット上で、「氏名」の代わりに用いることのできる全く新しい識別子です。

「氏名」は個人と他人を区別する識別子の代表ですが、識別子として大きな欠点があります。それは同姓同名があるということです。インターネット上で同姓同名があると衝突してうまくいきません。同一の電話番号を複数の人が持つようなものだからです。

そこで通常は「氏名」を中心に、生年月日や住所などの他の社会的プロフィールを加えて、個人を特定できるようにしています。そして、その「氏名+α」の個人情報をパスワードとともにデータベースに登録して、インターネット上で本人確認が必要な際に使います。

しかし、人類規模でデータベースを構築するとなると、世界の人口は80億人もいて、それだけでも膨大なデータ量であるのに、人は移動し、生老病死して情報が刻々と変化するので、それに合わせてデータベースを更新するのは膨大な手間暇(コスト)がかかり、現実的に不可能です。

そこでJibangoではデータベース方式を捨て、そもそも同姓同名問題が原因であるので、代わりにシリアル番号を識別子にすることで、その問題を根本的に解決しました。また、独自の関数方式を用いることで、データベースが無くとも本人確認を可能としました。これによって、インターネット上で1人1人はきちんと区別されますが、社会的なプロフィールは無関係なので、現実世界で本人が特定されることはありません。

関数方式の原理を簡単に説明すると、解くのが難しい「関数問題」とその「答え」を本人が予め知っておいて、本人確認が必要な時に、コンピュータにその「関数問題」を入力して、その場で解かせて、出た「答え」が予め知っていた「答え」と一致すれば、入力者が本人であると確認できるというものです。

以上、JibangoIDによって、個人を特定できない状態にすること(=不特定化)が可能であることを説明しました。JibangoIDが普及すれば、最終的には、人類規模で「不特定多数の人々」が実現することになります。

ちなみに「不特定多数の人々」の最大のものは人類ですが、その次の規模のものは国家でしょう。JibangoIDは人類向けには偶数列を、国家向けには奇数列を用意してあります。細分類すれば偶数列がGrobal JibangoID、奇数列がNational JibangoIDとなります。

ChatGPTとJibangoID

 ネット上のフリーコメントの投稿について、実名だと内容に責任が重くのしかかり、「物言えば唇寒し」状態となり、萎縮してしまう恐れがあります。また、権威に追従して、八方美人的で、お互いを褒め合う馴れ合い的なものとなり、真実から遠ざかるでしょう。

 逆に匿名だとボットや成りすましなど、架空や偽の人物による投稿が横行し、内容が無責任で言いたい放題になり、感情的な罵詈雑言であふれた、読むに堪えないものとなり、やはり真実から遠ざかるでしょう。

 そこで投稿に使用する名前として、実名と匿名の中間的な性質を持った名前(識別子)が求められます。それは、一意性は確保されるが、社会的プロフィールを含まないので、現実世界の個人を特定できない識別子です。それはまさしくJibangoIDですが、そのようなIDによる投稿こそが、集団の本音を反映し、集合知的な真実(最適解)に迫るものと考えます。

 ChatGPTなどの生成系AIが素材としてフリーコメントを収集する際に、このID投稿という、集団の本音を反映する中核的な帯域を疎かにしてしまうと、生成される回答も的外れで納得性の低いものになるでしょう。

 さらに、ID投稿の中でも真実性には濃淡があり、より真実性の高いものを浮かび上がらせ、低いものを沈める仕組みが必要です。それがBitcoinの投げ銭による人気投票です。人々が真実性(納得性)の高い投稿に対して、Bitcoinを投げ銭することで、多くの人から賛同を得られるようなコメントを投稿しようとするインセンティブが生まれ、素材の質が高まるでしょう。

 生成系AIの法的規制以前に、素材の質の向上、すなわち集合知性(CI:Collective Intelligence)を最適解に近づける仕組みこそが、それを元に生成されるAIの回答の的確性、(人類にとっての)安全性を高めることにつながると考えます。

集合知性(CI:Collective Intelligence)によるファクトチェック

前述のID投稿をファクトチェックに用いれば、「不特定多数の人々が行う、不特定多数の人々が資金を提供するファクトチェック」が可能となります。それは「特定少数の人々が行う、特定少数の人々が資金を提供するファクトチェック」より、優れていることは明らかでしょう。人類規模で、新たな知見が次々と加わり、ファクトも時々刻々と変遷していきます。それに追いつけるのは集合知性(CI)だけであり、その膨大なデータをサマライズし、その時々のファクトの断面を描き出してくれるのが生成系AIだと思います。

マイナンバーとJibangoID

マイナンバーを素のままインターネット上で流通させることが危険であることは誰でも漠然と感じていることでしょう。政府も推奨していません。一方、マイナンバーにマスクをかけた別の番号なら安全に流通させることが可能です。盗まれても誰のものかわからないからです。

このマスクをかけるというのは暗号化するということですが、Bitcoinなどの暗号通貨で使われている技術を利用します。原理を単純化して説明すると、対象となる番号を因数分解して、2つの因数に分け、一方を「公開鍵」としてインターネット上を流通させ、もう一方を「秘密鍵」として個人が保有します。元の番号の提示が必要なときは、相手の前で、公開鍵に秘密鍵を掛けて復号してみせることで、その番号の所有者であることを証明することができます。マイナンバーでいえば、公開鍵は、マスクをかけた別の番号のことで、秘密鍵は、それを使って復号できる番号のことです。

ところでインターネット上のPC同士の通信システムにはクライアントサーバ(C/S)システムとピアツーピア(P2P)システムがあります。C/Sでは秘密鍵を含めた全ての情報をクライアント(個人)とサーバ(中央管理者)の2カ所で同期させながら保持する必要がありますが、P2Pではピア(個人)の1カ所で済みます。

ここで問題なのはC/Sでは秘密鍵が2カ所に存在することで、個人にしてみると、自分以外に秘密鍵を保持して暗号を解くことのできる人物が存在していることになり、その人物が法人で、さらに公的機関であれば、「公知の秘密」という矛盾が生じることになります。

そこでJibangoIDの登場です。マイナンバーはC/SシステムにおけるデジタルIDですが、JibangoIDはP2PシステムにおけるデジタルIDです。マイナンバーにJibangoIDを被せたデジタルIDはP2Pシステムに乗せることができます。素のマイナンバーは厳重なセキュリティーで守り、中央サーバの奥底に保管しなければなりませんが、マイナンバーをJibangoIDでマスクすることで、気軽に外に持ち出せ、安全にインターネット上を流通させることができます。

マイナンバーと紐づけられた医療情報も同じことで、素のままで第三者(企業)の利用を許可するのは危険です。JibangoIDと紐づけられた情報なら、個人が特定されないので、第三者が自由に利用することができます。

マイナンバーをインターネット上で流通させるのが、漠然とした不安感なら、マイナンバーと紐づけられた医療情報を第三者が利用するというのは、現実的な不安です。医療情報というのは、他人に知られたくない特定の疾患等の情報を含み、個人が特定されると結婚差別や就職差別につながりかねないからです。その不安を根底から払拭できるのが、JibangoIDと紐づけられた医療情報であることは、これ以上言を俟たないでしょう。

(なお、この項でのJibangoIDは、マイナンバーという日本の国内向けのデジタルIDに対応するので、奇数列のNational JibangoIDとなります。)

民主的選挙とJibangoID

民主主義は無記名投票による選挙を前提に成立しています。これが記名投票だと、形だけの選挙、形だけの民主主義になることは誰にでも想像がつくでしょう。

アナログの投票用紙は現物の紙で、名前は書いてありませんが、渡された時点で、その人のものであることは明らかです。しかしデジタル化した投票用紙は実体のない電子媒体なので、誰のものであるかを示すためにデジタルIDを振る必要があります。 それに使うデジタルIDとしてC/SシステムのIDを使うと、誰が誰に投票したか中央のサーバにわかってしまうので、無記名投票になりません。P2PシステムのIDを使えば、誰に投票したか本人しかわからないので、無記名投票が成立します。

すなわち、デジタル化した選挙で、無記名投票を成立させるには、P2PシステムのデジタルIDを使う必要があるのです。それがJibangoIDです。

ところで、WHOのような人類規模の国際機関の代表を民主的に決めるのに、紙の投票用紙だと80億人は多すぎて、無記名投票は事実上不可能です。そこで、投票用紙を電子化して規模の制限を無くし、JibangoIDを振ることで無記名化することで、WHOのような人類規模の国際機関の代表を民主的に決めることが可能となります。

さらに、WHOのように、不特定多数の人々(人類)のために仕事をする機関が、特定の人々(巨大企業、国家)から資金提供されると、特定の人々のために仕事をすることになり、原則から外れます。 したがって、その資金は、提供者が特定されない匿名寄付による必要があります。人類規模なので、匿名Bitcoinです。

匿名Bitcoinとクラウドファンディング1.0

「個人が、不特定多数の人々に向けて仕事をした場合、不特定多数の人々から支払いを受けるのが正当である。」という原則における支払いは、「匿名寄付」であることは自明です。支払った人の名前が特定されれば、それは不特定多数にならないからです。

この原則から外れ、記名寄付で支払い者が特定されると、受領者は特定の寄付者に返礼しようという気持ちが働き、不特定多数の人々に向かう気持ちが疎かになるでしょう。また受領者にとって匿名寄付されたお金の使い道は自由ですが、記名寄付の場合は寄付者の意向に束縛されます。匿名寄付は自由を贈り、記名寄付は束縛を送るのです。

さて、この支払いにBitcoinを使う場合、それは匿名である必要があります。Bitcoinは元々匿名では?という疑問がわくのはもっともですが、現在、取引所でBitcoinを購入した場合、銀行口座と紐付けられているため、購入者が特定されてしまいます。匿名Bitcoinを手に入れるには、購入以外の方法で、入手する必要があるのです。

それには独自のクラウドファンディングを利用します。それが「クラウドファンディング1.0」です。クラウドファンディング1.0で扱うBitcoinは、プラットフォーマー(仲介者)が購入するもので、仲介者の銀行口座に紐付けられています。寄付者はクラウドファンディング1.0に現金を振り込んで、仲介者のBitcoinを寄付の宛先に送金するよう依頼する形となります。これにより匿名Bitcoinが誕生します。寄付の宛先を自分にすれば、匿名Bitcoinを入手できます。

通貨としてのBitcoinと適切な使用額

Bitcoinには資産としての面と、通貨としての面があります。Bitcoinにはリスクがあるのですが、それは資産として売買して損失を出すことです。しかし通貨として別の価値と交換している限り、手元には自分にとって相対的に価値が高いと判断したものがあり、その出費は損失ではありません。いわんや個人が、芸術を鑑賞して感動し、称賛払いする場合においてをやです。

次に、個人がBitcoinを扱うのに、いくらぐらいが適切かについて考察します。 Bitcoinの総額は決まっており2100万BTCです。それを80億人の全人類で割ると、1人当たり約0.0026(2100万/80億)BTCです。 ところで、1人の人間がBitcoinの総額2100万BTCを資産として保有している状態と、80億人が1人当たり0.0026BTCずつ使用している状態と比べて、どちらが貨幣として価値が高いでしょうか?

Bitcoinを本にたとえるなら、1人の人間が世界中の本を独占して蔵書(保有)しているのと、80憶人が1冊ずつ手に取って読んでいるのを比較するようなものです。本の在り方として、多くの人に読まれている状態の価値は高く、書庫に積まれている状態は低いでしょう。

同様に、Bitcoinは多くの人々に使われている状態が、貨幣価値が大きく、1人の保有額が大きくなればなるほど、全体としての貨幣価値が小さくなります。個人がBitcoinを集めて資産として保有することは、自ら資産価値を引き下げるジレンマなのです。

まとめれば、Bitcoinのように総額が決まっている電子マネーは、少数者が資産として多額を貯め込むより、多数者が通貨として少額を使い回す方が経済的に合理的なのです。

匿名Bitcoinの入手法

 具体的な手順を示します。
  ① Bitcoin addressとそのPrivate keyを入手。(→bitaddress.org)それらを紙に印刷したものがペーパーウォレットです。
  ② JibangoIDを入手。(→JibangoID
  ③ JibangoIDとBitcoin Addressを紐付ける。(→JibangoWallet
  ここまでで、あなたはインターネット上に世界唯一のあなたの名前付きのお財布を手に入れたことになります。ただし中身はまだ空です。

 次に、そのお財布に、匿名Bitcoinを入れる手順に移ります。
  ④ クラウドファンディング1.0を謳うサイトにアクセスして、プラットフォーマーの銀行口座の番号との名義をメモする。
  ⑤ ATMでプラットフォーマーの銀行口座に現金を振り込む。その際、メッセージの欄に寄付の宛先のJibangoIDを入力する。自分のJibangoIDを入力すれば自分に届きます。   なお入金状況はchainflyerで確認することができます。
  これでようやく、お財布(ペーパーウォレット)に中身が入ったことになります。ここまでの手順による匿名Bitcoinの入手法を“半自炊”と呼ぶことにします。

 次に、入手した匿名Bitcoinの使い方(寄付の仕方)を説明します。
  ⑥ スマートフォンにBitcoinのモバイルウォレットのMyceliumnなどのアプリをインストール。
  ⑦ 手持ちのペーパーウォレットのPrivate KeyをスマホのQRコードリーダーで読み取り、モバイルウォレットに匿名Bitcoinを移す。
  ⑧ 寄付の宛先のBitcoin AddressをJibangoWalletで確認する。
  ⑨ そのBitcoin Address に向けて、モバイルウォレットから匿名Bitcoinを送金する。   以上です。
  なお、⑤で寄付の宛先のJibangoIDを自分でなくて相手のを入力すれば、⑥~⑨を省略して直接、相手に寄付することができます。それを"他炊"と呼ぶことにします。
さらに自分自身がクラウドファンディング1.0を運営して、そこに自分宛に寄付する場合は“完全自炊”となります。匿名寄付は、たとえ錯誤や過失によるものであっても一切返金されません。そのリスクが許容できない場合、“完全自炊”によって匿名Bitcoinを入手することをお勧めします。

寄付者クラウドファンディング1.0宛先
半自炊自分他者自分
他炊自分他者他者
完全自炊自分自分自分

クラウドファンディング1.0の運営法

クラウドファンディング1.0は最も原始的な寄付型のもので、プラットフォーマー(仲介者)には特別な資格や許可は必要なく、誰でもなれます。用意するのは、銀行口座とBitcoin取引所のアカウントの2つだけです。
  では、実際の運営手順を示します。具体的に寄付金を1万円として説明します。
  ① 寄付者から仲介者の銀行口座に1万円が振り込まれる。その際、メッセージ欄に寄付の宛先のJibangoIDが指定されている。
  ② 仲介者は1千円の手数料を引き、残りの9千円を使ってBitcoin取引所で取引し、9千円分のBitcoinを購入する。(1BTCが300万円の時価の場合、9千円分のBitcoin=0.003BTC)
  ③ 仲介者は購入した0.003BTCを取引所のアカウントからMycelium(モバイルウォレット)に移す。
  ④ 仲介者はJibangoWalletで、指定されたJibangoIDの宛先のBitcoin addressを確認する。
  ⑤ そのBitcoin addressに向けて、Mycelium(モバイルウォレット)を使って0.003BTCを送金する。

デジタルプロダクツの販売方法

デジタルプロダクツというのは現物が存在しない電子的な記録であり、オリジナルさえ創造すれば、全く同じものを、コピーするだけで手間暇(コスト)をかけずにいくらでも生産できるという特徴を持ちます。その特徴のため、これまでのアナログプロダクツとは全く違う販売方法が求められます。

既存のアナログプロダクツの販売方法とは、生産者が宣伝広告で需要を喚起し、それに応じた「特定の人」(消費者)から注文を受けて、オリジナルと同等の現物を手間暇(コスト)をかけて生産して発送し、代金は、コストに利益を上乗せした金額(生産者が決定)を請求し、強制的に徴収するというものです。

一方、デジタルプロダクツは、生産者がオリジナルを創造し、そのコピーを「不特定多数の人々」に向けて発送(発信)し、代金は各自の効用(満足度)に応じた金額(消費者側が決定)を任意に支払ってもらうという販売方法が想定されます。

要約すれば、アナログプロダクツが「特定の人」に向けて仕事をして「特定の人」から義務的な支払いを受けるのに対し、デジタルプロダクツは「不特定多数の人々」に向けて仕事をして「不特定多数の人々」から任意の支払いを受けるということです。

以上を式を用いて、もう少し具体的に説明します。

対面:アナログプロダクツ商品=代金…①
遠隔:アナログプロダクツ商品+C/S型ID=代金+C/S型ID…②
遠隔:デジタルプロダクツ商品+P2P型ID=代金+P2P型ID…③

対面では「商品=代金」…①の式で販売されます。取引相手は目の前の人物で特定されており、他にIDなどの個人情報は必要ありません。この式における商品は現物(アナログプロダクツ)であり、代金は現金(アナログキャッシュ)です。重要なのは等式が成立することで、右辺と左辺が等価交換されることで正当な取引が行われます。

遠隔になると、商品がアナログプロダクツの場合、購入者を特定し、本人の元へ現物を届けるために、住所などの社会的プロフィールと紐付けられたデジタルIDが必要となります。このIDは本人と配送業者のデータサーバの2カ所で共有されるC/S型IDで、個人が特定されるIDです。代金も同様に、金融機関を介して支払われるので、本人と金融機関に共有されるC/S型IDとなります。すなわち遠隔でアナログプロダクツを販売する場合は、「商品+C/S型ID=代金+C/S型ID」…②の式で両辺に個人をが特定されるIDを加えて等式が成立します。

一方、遠隔でデジタルプロダクツを販売する場合は、不特定多数の人々に向けて配信されるので、購入者を特定する必要はありません。代金も金融機関を介さない、不特定多数の人々による任意の称賛払いなので、支払い者を特定する必要はありません。むしろ支払い者を特定すると「不特定多数の人々に向けた仕事(商品)に対して、特定の人々が支払う」ことになり、原則を外します。必要なのは、デジタル空間で不特定多数の人々の間で1対1で商品と代金を交換するための一意のIDであり、それは個人が特定されないP2P型IDです。これによって初めて「商品+P2P型ID=代金+P2P型ID」…③の等式が成立し、正当な取引が可能となります。しかし、これまではP2P型IDが存在しなかったため等式が成立せず、デジタルプロダクツの無償販売という、不当な状態が続いてきたのだと思われます。

そこでP2P型IDであるJibangoIDの登場です。JibangoIDを式③に当てはめると「デジタルプロダクツ+JibangoID=Bitcoin+JibangoID」となります。この式の右辺はまさにJibangoWalletですが、デジタルプロダクツにJibangoIDを添えて公開されたものはJibangoWalletによって正当な報酬の支払いを受けることができます。

例えば、デジタルプロダクツとしてフリーコメントを当てはめると、フリーコメントにJibangoIDを添えてSNS上に投稿すると、それを読んだ不特定多数の人々の評価に応じてJibangoWalletによる称賛払いを受けることができます。

他にも、デジタルプロダクツの代表的なものにフリープログラムがありますが、LinuxOSのようなフリーウェアは、正当な販売方法が無いために、生産者であるプログラマーの無償提供が常態化してきました。その結果、linux CentOS のサポート終了のように、人類は優れたデジタルプロダクツを失いつつあります。このような損失を食い止めるためにも、式③の等式が成立する正当な販売方法が、一刻も早く普及することが望まれます。

「仕事」のペダル

 人が働いて食べていくということは、自転車のペダルを漕ぐようなものだと思います。
  「お金を稼ぐぞ」という意気込みでペダルを踏み込むと、反対側のペダルに乗って「仕事」が後から付いてきます。
  「仕事をするぞ」という意気込みでペダルを踏み込むと、反対側のペダルに乗って「お金」が後から付いてきます。
  傍から見ると違いがありませんが、内面の幸福感はだいぶ違うのではないでしょうか。
  不特定多数の人々が、各自どのような意気込みで自転車を漕ぐかによって、人類全体の幸福感も、だいぶ違ったものになるでしょう。

ところで、これまで例示してきた数学、フリープログラム、フリーコメント等々のデジタルプロダクツは、個人が不特定多数の人々に向けた「仕事」であり、寄付に使う匿名Bitcoinは不特定多数の人々が個人に向けた「お金」です。つまり、これも「仕事」のペダルと、後から付いてくる「お金」のペダルの組み合わせです。 人類に普遍的な価値を生み出す個人の「仕事」に対して、後から不特定多数の人々が匿名Bitcoinを寄付して称賛するという、人類規模の「仕事」のペダルを、Jibangoは提供します。

個人はインターネット上で活動する際に、自分のJibangoIDを表示することで、それがそのまま寄付を受ける意思表示となります。人類に普遍的な価値の提供などと大げさでなくとも、小さなフリーコメントであっても、誰かの心を動かしたら、寄付を受ける可能性があります。

Jibangoは理論や理想だけを述べて終わりません。試用段階ですが、すでに具体的なプロトタイプが起動しています。このサイトがそうです。Jibangoは覚醒した個人による自発的な参加を歓迎します。